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「路地裏から街を見る」 京阪神を中心に、日本各地の路地裏の風景をくまなく歩いて紹介!

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天龍村平岡-谷に現れた斜面都市

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長野県の南端部、静岡県や愛知県の県境が交わる「三信遠地方」は、赤石山脈・木曽山脈に挟まれ、大変山がちな地形のため、「秘境」と呼ばれてきた。
かねてから交通のアクセスが悪く、平たい土地がほとんどないため、閉ざされたような地といわれた山村地帯である。

長野県の南端部の山中を走っていると、その村はある。

(橋の奥にあるのは、JR飯田線の旧橋梁。枕木が朽ちて、線路に木が覆いかぶさって、走ることはできない。)

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この地ではよくみられるダムの巨大なゲートと大河のようなダム湖の風景。
村の入り口は大自然に挑戦するような無骨でマッシヴなダムの入り口からはじまる。


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平岡ダムの向こう、天竜川を底にした、すり鉢のような斜面の土地が広がる。
斜面にへばりつくように、四方八方に民家が立ち並ぶ光景は、山奥に大きな空中都市でも現れたかのような迫力をもって迫ってくる。
ここが、「天龍村」の「平岡」地区である。
★どんな山奥にも商店街はある★

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早速街の中心を目指す。
古びた木材店の屋根の隣は、目新しい小規模のパチンコ屋が見える。
地理上、江戸時代から木材の生産でかねてから発展し…といったようすが見えてくるようである。

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メインストリート。
商店ばかりでなく、民家が混じったもの。
あまり人は歩いていない。

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駄菓子屋さん。
昼下がりには、子供がいた。
どんな僻地だろうが、都会の真中だろうが、駄菓子屋に集う子供の光景は変わらない。

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子供の社交場になっているのだろう。
この街は起伏に富んでいる。街路が入り組んでいるので、子供が駆け回って遊ぶにはうってつけかもしれない。
もっとも、山奥の村では外で遊ぶ子供より、家に閉じこもってファミコンに興ずるという話も聞くが。

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天龍村の中心地にある、「ふれあいステーション龍泉閣
レストラン、宿泊施設、温泉、ホール、イベント会場を備えた施設。
「村の観光拠点施設、都市と地域住民の交流の場」として建設されたとのこと。

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龍泉閣には、駅が併設されている。
JR平岡駅。
愛知県豊橋市と接続するものの、電車は2時間に1本くらいしか来ない。

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こんな山奥にも「東京堂」という名前の店がある。
東京への憧れは、ここにも来ていたのか。
とはいえ、ここでは貴重な食料品店。
この山奥にはコンビニもスーパーもないのだから。(幹線道路沿いには一応ある)

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今も営業しているかどうかは知らないが、文具店。
時計や宝飾の店もある。
商店街の店を使っているのは、先の駄菓子屋しか見たことがない。
それどころかメインストリートで人が数えるほどしかすれ違わない。
田舎町とはそういうものなのだろうが。


★人口減少すれども★


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ここから裏手に入る。
坂が多く入り組んだ街だ。

平岡が属する天龍村は、昭和35年には総人口が5792人いた。それ以前、冒頭の「平岡ダム」建設時には8000人近くいたものの、以降は人口の減少が著しく、平成17年には2000人を切り、2009年には1806人まで落ち込んだ。
毎年約2~3%も人口が減少しているこの村で、人口減少はさまざまなところで影を落とし、それを食い止める有効な手段が存在しないのである。


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子供の遊ぶ姿を見かけた。
夏休みだ。
入り組んだ路地を駆け回って遊んでいる。

村の保育園の入所児童は、平成元年には68人だったものが、平成19年には22人まで減少した。
しかも、村に「天龍(平岡)」「向方」の2箇所ある保育園のうち、「向方」保育園が平成7年から休止し、天龍に統合された。

小中学校は、昭和55年(当時人口3389人)には、小学校が3校、237人の生徒があったが、現在では38人。1校だけになった。
1学年に6人しかいない計算になる。
中学校は昭和55年から1校だが、生徒数が149人から34人に減少した。

こうして子供が遊ぶ光景は、いつまで見られるのだろうか…。

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産経ニュースに「【静かな有事】第1部少子化…崩れる社会(1)50年で3割減「存亡の危機」」(2009.6.30 22:40)という記事があった。

運動会や球技ができない。伝統的な祭りも続けられない…。
ここでは天龍村の人口減少や高齢化から来る「限界自治体」化は、将来の日本の先駆けとし、全国でも起こりうると悲観的にまとめられている。

出口なしの様相だが、ここですでに実感としてわかっている事実を並び立てても、せっかくの風景がつまらなくなる。
「雪ノ下アゲインスターズ」では、それを承知の上、平岡の町の面白さを伝えたいと思う。


★狭い土地に寄り合う建物★


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平岡にはこのようなおもしろい建ち方をしている集落がある。
家に家が連なり、建て増されたような複雑な家が、所狭しと張り付いているのだ。

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自動車が通れないような入り組んだ路地。
ここが既に山奥なのかわからないような空間感覚に染まっていく。

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その間を小川が流れていく。奥には4,5階もあるような建物が。
川の周りに草木が茂り、自然と共存しているようだ。

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曲がりくねった路地にある村役場。
スダレのついた木製の家ばかりの風景に、コンクリートが浮いた存在だ。
だが、それもアリだ。

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畑が点在する昔ながらの路地と、近未来的なソーラーパネルが演出するここには、どこか懐かしい未来があるようだ。

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人口密度は、昭和35年が53.2人/k㎡。平成21年には16.3人/k㎡。
おそらく、この建物の密集具合に合った人口密度だったが、
現在では空き家が多数発生してスカスカになっているのだろう。

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歩いていたら女の人が洗濯物を干している光景に出会えるのだろうか。

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看板が出ていない店。
しかしちゃんと営業しているようだ。
田舎にはそういう店がある。
地元の人同士の会話の世界が、ガラス越しに映る。

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バス停。
壁沿いにイス二つ並べただけなのに、どこか味がある。

どういうわけか黄緑色に塗装された木の建物。
太平洋岸の港町には、ピンクなどのパステルカラーに塗られた古民家(パステルカラー古民家)がいくつもあるが、それと似たものが長野県のこの辺りや、静岡・愛知県の山間部にも分布している。
なぜこの地方で別のパステルカラー古民家が見られるのかは、謎である。

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「花田酒店」という、古民家風の酒屋。
検索したら「食料品店・酒屋・パン屋・ケーキ屋」と出てきた。
酒屋で売ってるケーキってどんなものだろうか。

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路地を歩けば、踏み切りに当たる。

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JR飯田線から見える街の風景。
丘の上まで建物が連なっている。
右には山、左には川。トンネルを通って次の駅、という風景が延々と続く。
険しい山々を通るため、交通が不便なこの地方では、主要道路が通らない集落にも鉄道駅があり、その集落にとっては貴重な移動手段となっている。


★平地の農民と違ったライフスタイル★

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集落や坂道には、たびたびこのような畑が見られる。
自分の家で使うための、自給的な畑のようだ。
平地がほとんどない村のためか、大規模な農家はほとんどいない。

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わずかにある段々畑の水田。
農作物が多く作れないため、この三信遠地方では鹿や熊や猪といった「山肉」の狩猟が盛んに行われ、住民の栄養になっていた。
現在は、飯田市の旧南信濃村にある「星野屋」などでは、熊焼・猪鍋・鹿ステーキ・山女魚甘露煮というような山肉料理を食べることができるし、山肉が買えるのである。
(星野屋のウェブサイトで、通信販売でも山肉を買える。)

その山肉は、今でも猟師によって獲られ、調達されているのである。
獲った山肉と引き換えにお金をもらう、という、農業とは違ったライフスタイルがあるのだ。
民俗学ではこうした仕事を「生業(せいぎょう)」というが、この生業には、培われた専門的な技術を必要とする反面、「遊び」の要素が含まれているという。

じっと田畑を黙々と耕す仕事よりも、野山を駆け回っている方が、遊びには近い。(狩猟は真剣という側面もあるが)
そうした半分遊びという仕事があることで、狩猟という生業が楽しく続いてきたのではないだろうか。

仕事に対する考え方も揺るがされる。

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平たい土地が続く平地の生活より、こうした山村の生活には、多様なものがみられるようだ。
農業もあれば、狩猟もある、林業も川での漁もある。
また、平地の農民の考え方というより、山村の農に対する考え方も存在し、それが一つ山越えれば違ってくる。
そこが山村の楽しいところだと思う。

人口減少という側面ばかりに目を当てていては得られないようなものを、この地方は伝えているよ


おまけ

天龍村のPRCM(早稲田大学生制作)
http://www.youtube.com/watch?v=uIa9ZuR_bZ8

ここ数年、早稲田大学の学生による、天龍村との交流が進められている。
「天龍村山村留学プロジェクト」という組織で、年1回学生が山村留学をすること、平岡駅前をアートで飾ることで、来訪者と住民との橋渡しをしようとしているのである。

また、このプロジェクト出身の学生による映画作品が、「ぴあフィルムフェスティバル」という映画祭において、準グランプリを獲得した。
飯塚諒監督の『靄の中』という作品だが、この作品は天龍村でロケが行われた。
近々天龍村でも上映会を行うという。



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