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川原湯温泉-八ッ場ダム建設と政争に翻弄される運命…

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群馬県の草津温泉…に行く途中、山に囲まれた渓谷に、静かな温泉街がある。

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「川原湯温泉」という温泉街が、草津や万座の温泉町と東京へと行き交う車から逸れるように、ひっそりとたたずんでいる。
★静かな温泉街を蝕んでいく…★

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温泉街のゲートをくぐると、そこには渓谷の木々に囲まれた、人もまばらな通りが現れる。
草津のように賑やかで土産屋や娯楽施設が立ち並ぶのではなく、古びた建物がぽつりぽつりと現れる。
あざとい演出や安っぽい店が並んでるわけでもなく、商業主義に冒されていない、そんな素朴で清冽な空気が流れている温泉街だ。

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川原湯温泉は、ムササビが訪れる温泉街といわれている。古くは源頼朝が入浴したといわれる浴場も残り、由緒がありながらも、隠れた名湯である。
知る人ぞ知る温泉街ながら、そのたたずまいで長く愛されてきたのであった。

ところが…。

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渓谷の遠くに目をやれば…
山をバッサリ切り開いて、ダム工事が行われていたのであった。



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この写真は、吾妻渓谷の谷を通る国道145号線から撮影したものだ。
ダムの堤防に合わせて、高架道路も建設されている。

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川原湯温泉の温泉街の上から撮影。
いたるところでダムの造成工事が。

そう。この渓谷と、その谷にある川原湯温泉は、ダムの底に沈むといわれているのだ。

八ッ場ダム(やんばダム)というダムの工事が進められており、2010年に完成する予定である。
この川原湯温泉や吾妻渓谷が消えるのも、秒読み段階となってしまった。


★流出する人々、生まれ変わる?温泉★


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ダムに川原湯温泉が沈む。
それを受けて、閉店を決めた旅館の看板である。

八ッ場ダムの建設は、1967年から始まっていた。実に40年も前から行われたことで、未だに続いているのに完成していないダムである。
当然、町では建設の反対運動があった。しかし、着々と進む建設と、決定が覆せないという現実の中で住民は少しずつダムで温泉街が沈むことを受け入れていったのだ。
そして、ダムの完成が近づいてきた2009年の夏、この温泉街が力を失っている姿を目の当たりにしたのだ。

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長い歴史に幕を下ろした温泉宿を解体する重機。
「駐車場」の立て札が、在りし日の宿の姿を少し偲ばせるようで切ない。
こんな情景が温泉街のゲートの前で繰り広げられているのである。

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温泉街のゲートから少し入ったところの脇で、ダムの造成のための発破作業を告げる看板。
川原湯温泉が沈むカウントダウンの音が聞こえるようだ。

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その横に…「打越地区完成予想図」という立て札が。
なんと、完成したダムの上には、新たな土地がつくられ、人が住むようになるのである。

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国道145号線にあるダム建設の事務所の横の立て札。
ダムが完成し、渓谷に水が溢れると、この場所も水の底に沈む、ということを表す「●現在地」の点。
そしてダム湖の岸には…ダムの底に沈んで住む場所を失う人々の、移転代替地が示されている。

同じくダムに沈む国道145号線の新道に沿って、整然と区画された住宅地などが並ぶ予定である。

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その想像図がこれ。
パッと見、どこにでもあるようなニュータウンと変わらない。
ダム工事は、その昔の吾妻の渓谷の記憶も容赦なく沈めていくのだろうか。

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一方、この立て札は川原湯温泉の温泉街の通りに面して建っている。
「川原湯温泉は生まれ変わります」との文句と共に、ダムに沈んだ後の川原湯温泉の未来を示している。

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その中で川原湯温泉は、このようなイメージで再建されるという。
イラストだから伝わらないのは当たり前だが、パッと見温泉街の風情だとか奥の深さといったものが、ここから伝わるだろうか?
個人的には、このような真新しい温泉街として作り直したところで、客は今ほど来ないのではないかと思う。今の川原湯温泉の魅力がごっそり抜け落ちているからである。


なお、移転代替地がダム造成地の上に完成し、新しい住宅が建てられ、人が既に住んでいるという。
人々はダムのある町という近い未来を前提として生きているのだろう…。


★温泉街が沈むことを受け入れた人たちの跡★


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ダム工事が進み、ダムの底に温泉街が沈むということに引き返せなくなった街。
そんな中で、人々がどうこの現実を受け入れ、それが温泉街の姿をどう変えてきたかということを追った。

公園。新しめの遊具に遊ぶ子供は誰もいない。
ここから完成近い、ダムの建設現場が見える。

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祭りの後だろうか。
簡単に片付けられている小さなステージ。

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静かな温泉街の裏では…

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家が姿を消し、かつての街区だけが残り、温泉街の裏が廃墟状態になってしまったのである。
ダムの建設で温泉宿が店をたたむだけでなく、普通の住民もまた沈む前に町を出て、町内外へと次々出て行くのだ。

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この伝統ある温泉旅館の上では…

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「標高588.00m」と書かれた看板。
この中途半端な標高は、ダムに沈むのはこの標高まで、というのを表しているのである。


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小学生が描いた絵が、そのまま温泉街に飾ってある。
みると、ダム工事の現場の姿が生き生き(?)描かれ
現場で働く人を尊敬するかのようである。

子供たちの間では、すでにこのダムというのは沈むものだと教えられているのだろうか。

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温泉街の出口近くの温泉宿では…

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八ッ場ダムの建設で、水位がここまで達するという線が既に示されている。

事実、川原湯温泉が沈むことも、それを受け入れた上でそれぞれの人が動いているのである。

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川原湯温泉トンネルを通り、土砂を積んだダンプが次々通り抜けていく。
その先には、ダムの造成地があり、今日も建設が進められているのである。

トンネルの脇の真新しいお堂が、沈み行く町とその周りの豊かな自然を慰めるかのように佇んでいる。

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無縁仏の墓も、同じくダムに沈む。
ここに眠る人の縁故者や移転を希望する人は、1年以内に申し出ないと、そのまま沈むのだそうだ。


★ダム建設にも政争にも翻弄される温泉街★

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「王湯」という共同浴場で、あの源頼朝が発見したといわれる、由緒あるものである。
その前には、「09年8月30日、衆議院総選挙」のポスター看板が置かれていた。
(撮影当時、公示はまだなのでポスターは1枚もない)

この選挙が、沈むとされる温泉街の運命を左右するのである。
公共事業の名のもとに、ダム建設を進めてきたのが自民党政権であるが
それに対抗する民主党は、鳩山幹事長がハッ場ダムの現場を視察。
無駄な公共工事とし、ダム工事の中止を宣言した。
8月30日の選挙で民主党が過半数の議席を獲得し、政権を取れば、川原湯温泉は消えなくて済むのである。


※関連ニュース
鳩山幹事長ら、八ッ場ダムの建設現場を視察 地域住民のなまの声を聞く
八ッ場ダム、中止公約の民主は候補見送り
埼玉県知事が民主党に抗議 八ツ場ダム中止撤回求める

当然ながら、突然降って湧いたこの宣言に、町ではダム推進派や賛成者、反対者たちが揺れている。

40年もの歳月の中で、ダムに温泉街が沈むことを受け入れ、それを当たり前のものとして生き、子供にまでそれを言い聞かせてきた場所…。

川原湯温泉の街から人が流出し、長年続いた温泉宿を断腸の思いで閉め、他への移転に向けて動き続けている人たち。

慣れ親しんだ街を離れ、町の外や移転代替地に移り住んだ人たち。

逆らえない運命に、突然現れた中止という「戻れるかもしれない」という希望(?)に小躍りした人もいる。
しかし、街はもう既に、沈んだ先の未来へと動いてしまったのである。

よしんばダム建設が中止になって温泉街が元に戻れるかもしれないが、それは一部。
しかし、帰ってこない自然や、既に建ってしまったダム造成地やコンクリートの橋は残ったまま。
離れていってしまった人たち。
その現状を前にして、希望の糸が見えたとしても、複雑な思いで見つめているというのが、住民の心情ではないだろうか。
そして、上から住民の運命を翻弄しているのが、公共工事の中止といったような「人気取り」の公約を使って政争を展開している、政党政治であることに、無常な物悲しさを覚えるのである。

川原湯温泉の人々が、穏やかな日々を営める日が来るのは、いつの日になるのだろう…。


【後日談】
8月30日の衆議院総選挙では、民主党が圧勝した。
やはり八ッ場ダム建設は中止されたが、埼玉県知事などが国に中止反対の抗議をし、地元でも中止反対の声が多くあがっている。
また、八ッ場ダムと川原湯温泉には、この現場を一目見ようと、連日1300人の観光客が訪れている。
(しかし、宿泊客が多いわけでもないので、温泉にお金を落としていかない人が多い。)

現場を見にいくのもいいけど、こういう静かな温泉町のお風呂に入ったりしてゆっくりしていってください。
それが住民にとって、少ないけれど嬉しいことなのですから。



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